一面ブルーベリー
スウェーデンでの大半の時を過ごしたのは、DalsLånged(ダルスロンゲ)という人口約1,500人の小さな小さな田舎村。学校の他には森と湖しかないような場所で、車がない時は1日数本のバスで出かけることもままならず、平日休日関係なくまだ小さな息子と近くの森へ散歩に行くのが日課でした。
そんな日々の生活の一部になっていた森の、8月の今頃はちょっと特別で、6月の夏至をピークに夜遅くまでサンサンと明るい北欧の夏も終わりが近づき、漂い始めた秋の気配にまた暗い季節がやってくる暗澹たる気持ちになる一方で、「もう行った?」「一杯採れた?」という会話が挨拶がわりになる、どこかみんなウキウキしているキノコとベリーの季節でもありました。
北欧には「自然享受権(スウェーデン語で「Allemansrätten(アッレマンスレッテン)」)という、自然はみんなのもので所有者に関係なく誰もが平等に自然を楽しむことができるという習慣法があり、自然や土地の所有者に危害を与えることがなければ、キノコやベリーなどの採取や散歩やスキーなどのアクティビティを自由に楽しめる権利を誰もが持っているという考えが根付いています。
だから、人々はどこででも誰の土地かなど関係なくベリーやキノコ狩りを楽しめ、私たちも車を手にしてからは少し遠出をしていつもとは違う森へ探しに出かけたりもしてい
ました(でもやみくもカン頼りだったので採取までは中々至らず・・・)。
キノコは色々な種類があるけれど、誰もがまず探すのは黄金色のKantarella(カンタレラ;アンズダケ)。明るい黄色が森で一際目立ち見つけやすいことと、ソテーやスープ、どんな料理でも美味しいのが魅力のキノコ。
左:友人家族と彼らの夏の家の裏の森へ 中央:森に生えているカンタレラ 右:収穫したカンタレラ
ベリーは、森といえばのBlåbär(ブローベール;ブルーベリー※日本でいうブルーベリーではく、一般的にビルベリーと言われる野生種)、Hallon(ハーロン;ラスベリー)、Lingonbär(リンゴンベール;コケモモ)、Björnbär(ビヨンベール;ブラックベリー 直訳するとクマのベリー)、時々Vinbär(ヴィンベール;すぐり)と森だけでなく、道端や公園でも見つけるのが楽しかった覚えがあります。
左上:ほとんどお腹へ直行のブルーベリー 中央&右上:森でみつけたラズベリー
左下:肉&魚料理によく添えられるリンゴンベリー 中央&右下:道路脇にわんさか実っていたブラックベリー
8月から9月にかけてはベリーとキノコ狩りを楽しむ、これは田舎だけでなく都会でも森との距離が近い北欧ならではで、羨ましさが募るばかりの季節でもありました。
と、まだ夏盛りの日本から、今頃はすでに夏の終わりを迎えているスウェーデンの森の思い出を懐かしく振り返りってみました。
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